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大学時代(流大の剣風)
流通経済大学の手拭いには、桜木はるみ先生の実父である故馬場武雄先生が記した、「破邪剣(はじゃけん)」という文字が染め抜かれていました。文字どおり「邪剣に打ち勝つ」ということです。邪剣に対する言葉は「正剣」が当てはまると思います。
今でこそ「三所隠し」という名の変形の避け方は、小学生低学年にもすっかり定着してしまいましたが、私が高校生の頃はごく一部の高校生しかやっていませんでした。私も初めてその避け方を見たときには(なんと合理的な避け方なのだろう!)と思ってしまいました。しかし、剣道の手ほどきを受けた頃は、首を曲げて面を避けることさえも禁じ手とされており、要するに剣道には守りはない、真っ直ぐ打って真っ直ぐ打たれるか、相手の打ちを返したり擦りあげたりして打ち返すという教えが普通でした。しかし、いつの頃からか真っ直ぐ打つことよりも打たれない工夫が優先されるようになり、更にそこに対して竹刀を斜めにして(刃筋の立たない)打ちが横行するようになったように思います。
流通経済大学では前回のブログに記したように徹底的に基本を練り上げ、試合では正剣を追求しました。
さて、それでは「正剣」とは何か?そして流通経済大学の剣風は何かというと、まずは美しい構えに始まり、間合いの攻防では相手の攻め返しに対しても決して左拳を動かすことなく、いざ打つときには基本打ちと遜色ない打突で相手を打つ、「勝って打つ剣道」を目指していました。そして打たれずとも相手の攻めに対してピクッと左拳が動けば負けを意味するとも・・・。また、桜木先生は試合中に転ぶことも嫌い、「負けること以上に恥と思え」、とも言われました。また、「三所隠し」という変形な避け方に対しいち早くツキや逆ドウといった対策を取り、私が入学した年は1、2年生主体にチームながら関東女子学生剣道優勝大会で堂々の3位入賞を果たし、某雑誌では「流大旋風吹き荒れる」と評されるほどでした。
近年では、構えた時、左足の「ひかがみ」が折れていない、首がスッと抜けた美しい構えや基本に忠実な剣道よりも、勝つことは賞賛され、剣道界の行方を案ずるのは私だけではないと思います。「いや、そんなこと言っていては勝てないよ!」ということでは既に正しい剣道の概念は崩壊していると考えます。その失われつつある?正しい剣道、正剣、桜木先生の提唱する剣道を求め松井剣志会は創立されたのです。
2022年9月9日金曜日